スキー場で見る女の子の化粧とソウルっ子の化粧、どっちが濃いだろうと思ったりする。では、韓国の女の子がスキー場に行ったら、さらにドン!倍と、篠沢教授並みの倍率で化粧も濃くなるのだろうか?大橋巨泉でも分かるまい…。

第5回 〜はじめての韓国・その4 ソウルっ子メイクの巻〜

                       


●びすこが見たアジアファッション。


 ジャスコやサティーで1980円の服を好んで買う私が言うのもなんだが、タイや台湾で垣間みた一般婦女子のファッションはハッキリ言ってダサイ。台湾なんか、なんでそんなにいいワンピーなのに、近所履きの草履なんだ!とかヴィトンのかばんにジャージって「日本じゃヤンキーですぜ!姐さん」という人がわんさかいた。つまり、コーディネイトに難アリだったのだ。だからと言って日本がダサくないかと問われれば、みんな同じ髪型・同じファッションなのだから、ダサイには変わらないのだが、この際とりあえず置いておいて、ともかく、私が見た『アジアのファッション=日本の年代遅れ』の感が否めなかったのだ。


●どこから見ても日本人



 そんなこともあって、初めて訪れるソウルもそんなカンジだろう…つまり、いなたい(田舎クサイ)雰囲気に違いないとタカをくくり、現地人に見られるようにダウンジャケットにコール天パンツという、恰好で訪れたのだが…。なんと、ソウルはアムラーがわんさか。しかも、極寒で気温がマイナス15度だというのに、ミニスカートの薄着ときたもんだ。誰一人として極寒のシベリアから出稼ぎにきたようなダウンジャケットのコール天パンツなんて着ちゃいない。
 どこから見ても丸々日本人な私たちは、市場を歩けば「安いよ、安いよ」日本語の雨アラレ。定価の何倍もの金額をふっかけられるわで、かなり困惑していた。そこで、ソウルっ子らしい服を調達してソウルっ子になりきろう…という作戦に出た。ここで欠かせないのが濃ゆい濃ゆいメイクである。

●韓国的無愛想能面美人


 ソウルっ子はみんなすごくキレーなのだが(日本よりも美容整形がポピュラーなため、加工された美人が多いという説もある。)化粧が異様に濃い。これもソウルっ子達の連動性同時ファッションの特徴だ。過去ソウルに行った人間からはソウルの若い女の子たちはニコリとも笑わず、ツンと澄ました冷たい印象があり、愛想のいい日本の女の子はモテると聞いていた。しかし、彼女たちがニコリともしないのは、厚塗りが割れるからではないかと私は思う。厚塗りを持続させるがため、常に緊張した表情を保っているのがクールに映っているのではないだろうか…。この厚塗りの上にお目々、お口は輪郭を描いたクッキリ・ハッキリメイク。薄化粧とぼかしメイクの日本とはまったく正反対である。眉毛の細さも日本で言うところの小ギャルの比ではない。極細急上昇カーブ眉は寝起きのホステス、いやユキ姉こと兵頭ユキを連想させるものだった。

●怒涛の女店主柴田理恵参上!



 私達は市場の日本語攻撃をかわす手段として、このソウルっ子メイク実践するべくメイク用品を購入することにした。ブルーのアイシャドーとモード色の口紅。そして、忘れちゃいけないアイライン。他のものは帰国してからでも使えるが、ラインを普段入れない私たちは高価な買い物はしたくない。安いものはないかと物色していると大きな口をガハハと開けた柴田理恵似の女店主がやってきた。予想通り、恐ろしく高価なリキッドアイライナーを出してきた。
「モアーチープ!」「ベスト・チープ」
その手にのるものかとを連呼すると、ペンシルタイプの古ぼけたラインを差し出し
「∂∞●★※∇Ωω3000ウォン」
と言い放った。どうやら、どこかのブランドであることを強調しているようだが、見たことも聞いたこともないブランドである。女店主は強引にこれをすすめ、私のカバンの中にツッ込んできた。かなりやり手のババアだ。高級なブランド品なんだからと柴田理恵は言うが、この強引さだ、アイライナーのブランドが『日本ハム』だうろが、『シャネル』だと言い張るに違いない。さらに、
「今日は3000ウォンだけど、明日になると5000ウォンになる」
と片言の英語で言うではないか。確かに、ここはアンタの店だから商品の値段を上げ下げするのは容易なことだろう。しかし、その根拠は何なのだと私は問いたい。
「これにしとけ、悪いことは言わんから」といった感じで、肩をバシバシと叩きやはり大きな口を開けてガハハと笑っていた。
「柴田理恵には参ったね」
Tさんはここでも力無くそうつぶやいていたのであった。目元・口元のメイクは揃った。残るは眉毛である。当然、剃るしかあるまい。宿に帰ると早速、剃刀を片手に極細急上昇カーブ眉を作り始めた。ソリソリソリ。
「Tさんどうです?」
「ソウルっ子はもっと細いよ」
「これが限度ですよぉ。日本でまっとうな社会生活できなくなるじゃないですか」
とか言いながら少しずつ細くしてたつもりが左右のバランスが上手く取れず、気が付けばすっかりソウルっ子眉毛になっていた。
「あ゛ぁ…。」
日本でのまっとうな生活を私はこのときあきらめたのだった。


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