ある金曜日の昼下がり。ピーコが大阪女のファッションチェックしてました。その辛口ったらインド人もビックリの辛さ!そして締めくくりに言ったのが「大阪の人って自分以外は全部ブランドなのよね〜」とごもっともな一言…。ワハハ。ソウル・明洞の女の子たちはチープなお洋服を上手におコーディネイトし、値段以上見せていました。ピーコさん、あなたならどう評価しますか?お手柔らかにお願いします。
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第4回 〜はじめての韓国・その3 明洞で玉砕の巻〜
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目が覚めると、外は銀世界。雪だ。オンドルの床から身体を離すと縮みあがるような寒さなのにもうなづける。
「うわぁ〜Tさん雪ですよぉ」
「まさか初雪を韓国で迎えるとはねぇ…。」
気温は前日よりもさらに下がっているはず。しかし、私達には限られた時間しかない。そそくさと着替え、街へと繰り出した。明洞での“がっちり買いましょうツアー”だ。南大門市場を抜けて行くコースをとったのだが、市場は人も屋台も少なく閑散としていた。
「ガイドブックに出てた南大門市場の写真って屋台がもっと出てて活気があったのに」
「ガイドブックは信用できないですからねぇ」
同業界で細々と食っている私達は、そんなことは100も承知だ。
「そんな問題じゃなくて、こんな寒い日に出歩いてる私達の方がおかしいのよ」
「商売人がそんな軟弱じゃイカンでしょう。根性ないなぁ。大阪じゃ生き延びて行けませんよねぇ」
「ここは、ソウルやって。」
「……。」
南大門市場の静けさとは裏腹に、明洞は横殴りの雪が降りつけようが若者達であふれていた。ちょうどバーゲン時期だったこともあり、開店前から行列を作っているファッションビルも存在した。若い連中のおしゃれにかける情熱は韓国も日本も同じようだ。
明洞。そこはソウルっ子の流行の発信地である。大阪のアメ村、東京の渋谷・原宿ってな存在の場所。
そう、行き交うソウルっ子は皆、ダウンジャケットにコール天のパンツ…
はっ!( ̄□ ̄;)いない。
そんなソウルっ子は誰一人いない。
みんなこのクソ寒い最中でも薄着でしかもおっしゃれーなモードファッションに身を包んだアムラー状態で街を闊歩しているのである。
な、なんでや〜!そんなアホなことあるんかいな!せめて日本のように貧乏カジュアル・ファッションが流行ならまだ救いようがあったものの、防寒よりオシャレを選択していたソウルっ子たちは、ビシバシとスリムラインのお洋服で決めまくっていた。“皆と同じでないと不安なの、きゃ♪”などという、アホーな国民性は日本だけではなかったのだ。
日本でもダサイが韓国ではもっとダサイ自分たちが恨めしい。
「びすこさん、地元民に溶け込むにはオシャレは皆無って言ってたよね…。」
「いや、あの、その…。タイとかカナダじゃオシャレとか流行はなかったんですけど…。」
「でもここ、ソウルよ」
「そ、そうですね…。」
「私、なんか帰りたくなってきた…。」
Tさんは力無くこうつぶやいていた。モノトーンのソウルっ子に混じると目立つこと目立つこと。どっから見ても日本人である。市場を歩けばお店の兄ちゃん、おばちゃん達からは当然のように日本語を浴びせかけられる始末だ。一人でセブンイレブンに買い物に行ったTさんは、一言も日本語を発しなかったにもかかわらず、店を出るときにおばちゃんから「ありがとよー」と言われていた。
街を歩いてまずビックリしたのが、女の子同志で、腕を組んだり、手をつないだりしている人がめちゃくちゃ多いということだった。しかも恋人つなぎ。手をつないでないのは1人で歩いている子ぐらいである。
「えぇ〜。みんなレズ?」
「まさかー」
レズではないだろうが、見てはイケナイものを見たような気恥ずかしさを感じていた。そう、子供の頃、寝ぼけて親の寝室を開けると、パッと2人が離れたあのときのような恥ずかしさ…(いいのか、こんなこと書いて…)
「仲良しの証とか?」
「単純に寒いからとか?」
「回りがみんなやってると、恥ずかしいなんてことはないんだろうね」
「じゃあ、ここにいる人みんながコール天のパンツとダウンジャケットを来てくれれば、私達も恥ずかしくないと…」
「…誰もやらんと思う…。」
Tさん、あなたのおっしゃることは、とても正しいと常々思っています。はい。
特に何を買う訳でもなく、プラプラと明洞のウィンドーショッピングを楽しんでいると、いかにも庶民的なビルにぶつかった。その名も“明洞衣料”。がっちり買いましょうと銘打っているものの、私達はオシャレで高価な洋服が欲しい訳ではなく、庶民価格でかつ、バカバカしいものを探していたのだ。
「ここでしょ!明洞衣料ですよ!くだらないものの宝庫って感じじゃないですか!」(※イルボンヌ注:この“くだらない”は我々の最高のほめ言葉と理解していただきたい)
私はやや興奮気味にTさんに言った。
「うん!ここよ、ここ。探してたのはこのバタ臭い感じよ!」
Tさんも舞い上がっている。
名は体を表すとはよく言ったもので、この明洞衣料はまさしく名称通りそのまんまのお店であった。あちこちにズボンだのコートだのセーターだのが山積みされたワゴンがわっと置かれていた。ワゴン商品の値段も2000Wだの3000Wだの、日本円で200円、300円の世界である。
「キャ!Tさんこのパンツ300円ですよぉー」
「このコート3000円だってぇ〜」
私達は驚喜した。
300円のジーンズを物色したのだが、あいにくサイズがなかったのでここでは何も買わなかったのだが、サイズがないことが原因となって面白いことを発見した。この明洞衣料、試着室がないのである。では、どうするのか…。店内には数カ所にゴムスカートが積み上げたカゴが置かれていた。南の島のおばさんが履いてそうな大きなゴムスカートである。これも商品なのかと思っていたのだがよくよく店内を見回すと、数人の女性がスカートを首もとからスッポリかぶり何やらモソモソしているのである。そう、このスカートの中で着替えるのだ。
「T、Tさん、あのスカートが試着室ですよぉー」
「えぇー!!」
合理的というか何というか…。男女の売場フロアが違うこともあってか、ゴムスカートを使わず平然な顔でいきなりズボンを脱いで試着をはじめる子もいたほどだ。さすがケンチャナヨ(問題ないよ)の国である。そういえば、2才の甥っ子は先日、いきなりズボンをずらし、お気に入りのゴーゴー5のパンツを「ほらぁ。僕の大好きなゴーゴーファイブ」と言って見せてくれた。彼もケンチャナヨ精神を持っているのだろうか?すまない、話を戻そう。
しかし、この大らかさが私は非常に気に入った。韓国に来てから私は妙な居心地の良さを感じていたのだが、その理由が明確になった気がした。細かいことは気にしない、この大らかな韓国人の国民性が私をラクにさせていた。たかがスカート一枚で国民性までを決めつけるのもどうかと思うが、このスカート試着室を“恥ずかしい”と思わねばならない、日本の生活の息苦しさを感じている私にとっては、その後も韓国人の大らかさにずい分癒される思いをした。
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